テラーノベル
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放課後の商店街。人通りの多い歩道を歩く遥の肩に、再び冷たい指先が触れた。振り返ると、先ほどの美桜に加え、彼女の友人たちが数人、にこやかに寄り添ってきた。
「やっと全員揃ったね、遥」
美桜の声は、甘い調子に残酷さを混ぜた響き。彼女の瞳は、まるで玩具を観察するように遥を見下ろしていた。
「な、なんで……」
声は震える。周囲の人々の視線も気になるが、それ以上に恐怖が勝る。体が硬直し、言葉は出ない。
「ほら、ちょっと歩きながらお話しよっか?」
美桜が軽く肩を押す。友達も笑いながら寄り添い、遥の逃げ道を徐々に塞ぐ。歩道の一角で、遥の視界は完全に囲まれてしまった。
「ねえ、昨日の倉庫でのこと、ちゃんと覚えてるよね?」
美桜の笑みは薄ら寒く、言葉の端には“見せしめ”の意味が含まれている。
「ここで話してみなよ、どういうことされたか、ちゃんと言える?」
遥は小さく息を吐く。言葉は出そうで出ない。拒絶すれば、さらに残酷な反応が返ってくることはわかっている。
「そう、黙ってるんだ……? 本当に無口だね、でもね、黙ってても分かるんだよ。あなた、性奴隷でしょ?」
友達の一人が肩を軽く押し、周囲に見せつけるように笑う。
「ほら、見て、性奴隷がもじもじしてる。かわいいね~」
「私たちのおもちゃ扱いでいいんじゃない?」
言葉の刃が次々と刺さる。周囲を行き交う人々には気づかれないかもしれないが、遥にとっては痛みが肌に刻まれる。羞恥と心理的圧迫が、言葉と身体接触で増幅される。
美桜がさらに近づき、指先で頬に触れる。
「ほら、ちょっと目を合わせてごらん。あんた、逃げられないんだよ?」
友達も輪になり、遥の肩や腕に触れながら、囁くように次々に言葉を浴びせる。
「昨日のこと、ちゃんと言える?」
「恥ずかしいこと、全部思い出して言っちゃえ」
「ほら、もっと見せて、こっちまで分かるように」
遥は息を飲む。顔を上げたくても、視線を逸らすことすら許されない。
心臓が早鐘のように打ち、体は小刻みに震える。足は前に出るが、精神は押しつぶされそうになる。
「そうそう、奴隷のくせに……って言われるの、好きなんでしょ?」
女子たちの笑い声が、通りのざわめきに混ざり、遥の羞恥心を追い詰める。
「私たちの前じゃ、無力でいてくれるのが一番面白いんだから」
遠くから通行人の視線が通り過ぎるが、気にする余裕はない。目の前にいる美桜とその友人たちの声と視線だけが、遥を縛り付ける。
「いい子ね、ちゃんと奴隷の立場を自覚してる」
美桜が微笑む。だがその笑みは優しさとは無縁で、徹底的に支配的だ。
遥の体は硬直したまま、言葉も出ない。
だが、心の奥では怒りも恐怖も痛みも、ぐちゃぐちゃに絡み合い、逃げ場のない孤独と羞恥だけが膨れ上がる。
周囲の雑踏が、そのすべてを覆い隠すかのように流れる中、女子たちの残酷な“演出”は確実に、遥の心と体に深く刻まれていくのだった。
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