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#雑談
寿命㌫(主)
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ai _ .
1,950
「壊れてるじゃん」
蒼のその言葉で。
廊下にまた笑いが広がった。
「ほんとだ」
「まだ立ってる」
「すげー」
誰かが言う。
「どこまで行くんだよ」
凪の耳には、その声が遠く聞こえた。
頭の中が少し白い。
蒼は凪を見ていた。
じっと。
観察するみたいに。
「なあ」
蒼が言う。
凪の肩がわずかに動く。
「聞こえてる?」
凪は小さく頷いた。
周りから「おお」と声が上がる。
まるで何か成功したみたいに。
蒼は笑った。
「ちゃんと反応するじゃん」
その言い方に。
また笑いが起きる。
沙希がゆっくり歩いてきた。
凪の横に立つ。
近い距離。
「顔色やばいよ」
そう言った。
でも。
声に心配はなかった。
ただ観察しているだけ。
「でも」
少し笑う。
「まだ帰らないんだ」
凪は答えない。
沙希は蒼を見た。
「蒼」
蒼が「ん?」と返す。
沙希は言う。
「これさ」
凪を指す。
「ほんとに壊れるんじゃない?」
周りが少し静かになる。
でも。
蒼は笑った。
「もう壊れてるだろ」
軽い声。
凪の胸の奥がぎゅっと縮む。
蒼は続けた。
「普通さ」
凪を見て言う。
「ここまで言われたら来ない」
沈黙。
「それでも来る」
少し笑う。
「もう普通じゃない」
周りから「確かに」と声。
凪の頭の奥で、何かが軋む。
沙希が小さく息を吐いた。
「ねえ凪」
凪はゆっくり顔を向ける。
沙希は目を細めていた。
「さっきさ。
蒼いらないって言ったよね」
凪の喉が動く。
沙希は続ける。
「それでも帰らないの?」
沈黙。
凪は答えない。
沙希は少しだけ首を傾けた。
「ねえ」
声が少し低くなる。
「何待ってるの?」
その言葉が。
胸の奥に刺さる。
凪は口を開いた。
でも。
声が出ない。
蒼がそれを見て笑った。
「ほら。何も言えない」
周りがまた笑う。
凪の視界が揺れる。
沙希がぽつりと言った。
「ねえ蒼」
蒼が「ん?」と返す。
沙希は言う。
「最後に一個やってみなよ」
蒼が眉を上げる。
「何」
沙希は凪を見た。
逃げ道を塞ぐみたいに。
「もう一回言ってみて」
少し笑う。
「いらないって」
廊下の空気が止まる。
蒼の友達が息を呑む。
蒼は数秒黙った。
それから。
ゆっくり凪を見る。
凪の心臓が強く鳴る。
蒼は言った。
「凪」
凪は顔を上げた。
蒼の目は冷たい。
さっきより少しだけ。
「もう来るな」
一瞬。
廊下の音が全部消える。
蒼は続けた。
「俺の前に」
凪の呼吸が浅くなる。
「もう二度と」
その言葉で。
凪の頭の中が真っ白になった。
周りが静かになる。
誰も笑わない。
蒼は数秒、凪を見ていた。
そして。
小さく言う。
「……これでどうする」
凪の足が震える。
視界が歪む。
逃げろ。
頭のどこかがそう言う。
でも。
体が動かない。
沙希が静かに言った。
「まだいる」
その声は。
まるで。
観察結果を報告するみたいだった。
蒼の友達が小さく呟く。
「やば……」
蒼は凪を見たまま言った。
「な?」
周りに向かって。
「言っただろ」
そして。
凪に。
小さく笑う。
「壊れてる」
その言葉を聞いた瞬間。
凪の視界が揺れた。
足の力が抜ける。
廊下の床が近づく。
誰かが「あ」と声を上げた。
凪の膝が床につく。
音が響く。
蒼はそれを見て。
少しだけ。
驚いた顔をした。
沙希は黙って見ていた。
凪は顔を上げなかった。
ただ。
床を見たまま。
動かなかった。
コメント
1件
読み終えて、胸がぎゅっとなりました。凪が「もう二度と」の一言で完全に崩れていく瞬間、まるでこちらまで息ができなくなるようでした。沙希の「何待ってるの?」という言葉が、どんな答えも許さない空気で刺さってきます…。蒼たちの“観察”するような冷たさと、それでもなお立ち尽くす凪の根っこの強さが最後の膝つきで一気に可視化されて、すごく苦しいけど目が離せない回でした。凪がどこで立ち上がるのか、気になって仕方ないです🥺