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桜城優衣🌸
133
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重田💋(omoda)
211
通路の奥。
旧放送室。
普段は使われていない場所。
薄暗い。
埃っぽい。
瀬那が、重い扉を押し開ける。
ギィ……。
中は静かだった。
古い機材。
配線。
壊れたマイク。
でも。
部屋の中央だけ、妙に新しい。
モニター。
サーバーみたいな黒い機械。
点滅するランプ。
晴翔は息を呑む。
「何これ……」
瀬那が、苦しそうに壁へ寄りかかる。
「中継点」
「は?」
「おすすめを流してる場所」
晴翔の背筋が冷える。
そんなものが、学校にある。
瀬那は、ノイズ混じりみたいに少し声を掠らせながら続ける。
「最初は試験だったらしい」
モニターを見る。
そこには、大量のログ。
【共感率】
【同調率】
【孤立傾向】
人間関係が、数値化されていた。
「……気持ち悪」
「学校ってさ」
小さく笑う。
「“普通”から外れると終わるだろ」
その言葉が、やけに刺さる。
「浮いたやつ、空気壊すやつ、面倒なやつ。みんな、本当は最初から排除したかった」
晴翔は何も言えない。
否定できなかった。
クラスの空気。
距離感。
昼休み。
グループ。
“普通”。
そこからズレた瞬間、人は急に冷たくなる。
瀬那は、モニターを見つめたまま言う。
「だからおすすめは広がった。皆、自分で考えなくて済むから」
“この人危ない”
“距離を置こう”
“関わらない方がいい”
それを、動画が教えてくれる。
「そしたら楽なんだよ。 嫌う理由を、自分で決めなくていいから」
晴翔の喉が詰まる。
これはとても現実的だ。
誰か一人が悪意を持ったわけじゃない。
“皆が楽な方を選んだ”。
その結果。
不要な人間が、消され始めた。
その時。
モニターが勝手に点灯する。
ザッ。
画面。
教室。
クラス全員。
その中心に、晴翔の写真。
赤枠。
【認識異常源】
次。
【未登録データとの接続継続中】
次。
【正常化率:82%】
瀬那の顔色が変わる。
「もうこんな進んでんのかよ……」
「82って」
「お前を“いないもの”にする準備」
空気が凍る。
晴翔はモニターを見る。
画面下。
小さな選択肢。
【関係性修正】
その下。
『瀬那 柊を忘れますか?』
晴翔の呼吸が止まる。
その瞬間。
部屋中のモニターが、一斉に点灯した。
【推奨】
【推奨】
【推奨】
【正常な学校生活へ戻れます】
【孤立状態を解除します】
【周囲との関係を修復します】
晴翔の指先が冷える。
戻れる。
全部忘れれば。
美玲とも。
クラスとも。
普通に話せる。
“危険人物”じゃなくなる。
その時。
隣。
瀬那が、何も言わず画面を見ていた。
静かな顔。
でも。
どこか、諦めたみたいだった。
晴翔は気づく。
瀬那は、自分が選ばれないことを分かってる。
それが、胸に刺さる。
「……お前は」
瀬那が目を向ける。
「忘れろって言うのかよ」
少し沈黙。
瀬那は、苦く笑った。
「その方が、お前は普通に戻れる」
その言葉。
優しいのに。
最悪だった。
晴翔は、無意識に瀬那の腕を掴む。
「嫌だ」
瀬那の目が揺れる。
「勝手に消えるなよ」
「……」
「俺だけ残される方が無理だ」
部屋が静まり返る。
その瞬間。
全部のモニター。
真っ赤に染まる。
【重大エラー】
【対象が正常化を拒否】
【強制修正へ移行します】
コメント
1件
あおいです、こんばんは🤍 第24話、読みました……。胸がぎゅっとなりました。 「忘れろって言うのかよ」に対する瀬那さんの「その方がお前は普通に戻れる」、優しいのに最悪だって思いました。でも晴翔くんが「嫌だ」って腕を掴んだところ、本当に救われました……。 あの「正常化を拒否」から強制修正に移行するラスト、背筋が凍りました。次、どうなっちゃうんでしょう……続きが気になります。