テラーノベル
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警報音。
ビーッ!!! ビーッ!!!
旧放送室の赤いランプが、激しく点滅する。
モニター。
全部真っ赤。
【強制修正を開始】
【対象:友崎晴翔】
【未登録データを分離します】
晴翔の呼吸が乱れる。
瀬那が、咄嗟にモニターを叩く。
画面がノイズを走らせる。
でも。
止まらない。
【正常化率:89%】
数字が上がる。
90。
91。
「これ何なんだよ……!」
「学校全体が同期してる」
「は?」
「生徒だけじゃない」
瀬那は苦しそうに続ける。
「教師も、システムも、空気も。全部、“普通”を維持する方に動いてる」
その時。
放送室の外。
足音。
大量。
ドドドドド……。
晴翔の背筋が凍る。
「来た」
扉の窓。
その向こう。
クラスメイト達。
全員、スマホを持っている。
美玲もいた。
でも。
表情が違う。
感情が薄い。
“正しい答え”だけを共有している顔。
その瞬間。
放送室スピーカー。
ノイズ。
『正常化を続行します』
『友崎晴翔』
『あなたは現在、不適切な関係性へ依存しています』
晴翔の喉が詰まる。
依存。
スピーカーは続ける。
『未登録データを削除することで』
『学校生活を正常化できます』
モニターに映像が流れる。
晴翔の未来。
教室。
笑い声。
美玲と普通に話している。
クラスにも馴染んでいる。
誰も晴翔を避けない。
おすすめ欄も、普通の動画しか出てこない。
平和。
“正常”。
その映像の中に、瀬那はいなかった。
最初から存在しないみたいに。
晴翔の胸が痛む。
スピーカー。
『推奨選択』
モニター中央。
大きなボタン。
【忘れる】
その隣。
小さく。
【拒否】
まるで、最初から答えが決まってるみたいな配置。
瀬那が、静かに言う。
「押せ」
晴翔が振り向く。
瀬那は笑っていた。
でも。
無理やり作った笑顔だった。
「お前は戻れる」
「……」
「俺のこと忘れたら」
「ふざけんな」
「晴翔」
「俺だけ普通に戻ってどうすんだよ」
声が震える。
晴翔は、初めてちゃんと理解する。
怖かったのは、消えることじゃない。
“瀬那がいなかったことになる”こと。
それが、一番怖かった。
「お前だけ覚えてるの嫌なんだよ」
瀬那の表情が止まる。
「皆に消されても、お前までいなくなる方が無理だ」
沈黙。
外の扉を、誰かが叩く。
ドン!!
「開けて」
美玲の声。
でも。
抑揚が薄い。
「正常化して」
ドン!!
ドン!!
クラスメイト達も、同じ声で言い始める。
「正常化して」
「正常化して」
「正常化して」
晴翔の背筋が冷える。
瀬那が、目を閉じる。
そして。
小さく呟いた。
「……ほんと馬鹿」
でも。
その声は、少しだけ嬉しそうだった。
その瞬間。
【正常化率:99%】
モニターが、真っ白に光る。
スピーカー。
『最終修正を開始します』
#恋愛
コメント
1件
うわあああ第25話、読み終わった今も胸がギュッてなってるよ😭💦「忘れる」か「拒否」か、あのボタンの配置だけでシステム側の“普通”の重圧がビシビシ伝わってきた……。瀬那が「押せ」って言ったときの無理やりな笑顔、あれだけでどれだけ晴翔のこと想ってるか分かるし、それに「お前だけ覚えてるの嫌なんだよ」って返す晴翔の言葉、マジでズルいよエモすぎる……!2人の絆が“異常”って扱われる世界、本当にゾッとするけど、それでも抗おうとする姿にもう全力で感情持ってかれた…!続きが気になって今夜眠れないかも…😭📖