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眠狂四郎
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#闇
ruruha
1,494
ruruha
1,870
#オリジナル
重田💋(omoda)
350
昼休み。
教室の隅は、やけに明るかった。
笑い声が響いているのに、そこだけ少し距離がある。
生徒は壁に寄りかかって、ぼそっと言った。
「どうせ、って思うんです」
遥は見ない。
「何が」
短く。
「嫌われるって」
間。
「最初は普通に話せるんですけど」
視線は床。
「ちょっと間が空いたり、返信遅れたり、それだけで」
一拍。
「終わったなって思う」
遥は黙っている。
「で、勝手に距離取って」
小さく笑う。
「本当に終わらせる」
沈黙。
「……バカだなって思います」
静かに言う。
遥は少しだけ顔を向ける。
「合理的だな」
短く。
生徒は眉をひそめる。
「え?」
「先に離れれば」
一拍。
「切られる側にならない」
教室の空気が少し変わる。
生徒は言葉を止める。
「……それ」
小さく。
「そうかもしれないです」
遥は続ける。
「予測して先に動く」
机に指を置く。
「それ自体は間違ってない」
一拍。
「ただ」
少しだけ間を置く。
「精度が低い」
生徒は苦笑する。
「当たってないってことですか」
「ほとんどな」
短く。
沈黙。
笑い声が遠くで弾ける。
「……でも」
生徒は言う。
「実際に嫌われることもあるじゃないですか」
遥は頷かない。
「ある」
一拍。
「でもそれはお前が決める前に起きてる」
生徒は止まる。
「……あ」
遥は続ける。
「“嫌われるかもしれない”と“もう嫌われてる”を」
一拍。
「混ぜるな」
教室が静かになる。
生徒は何も言えない。
「可能性と確定は違う」
短く。
「なのに」
一拍。
「確定として動いてる」
生徒は壁から背中を離す。
「……だから早いんだ」
ぽつり。
遥は何も言わない。
「さっきのと同じで」
一拍。
「判断が速すぎる」
自分で言う。
沈黙。
「じゃあ」
生徒は少しだけ顔を上げる。
「どうすればいいですか」
遥はすぐに答えない。
少しだけ考える。
「確認しろ」
短く。
生徒は眉を寄せる。
「確認?」
「事実を増やせ」
一拍。
「一回の反応で決めるな」
机を軽く叩く。
「三回見る」
教室の空気がわずかに動く。
「三回……」
「遅い、そっけない、目を逸らす」
一拍。
「それが三回続いてから考えろ」
生徒は少し考える。
「……一回で決めてました」
小さく笑う。
遥は言う。
「一回はノイズだ」
短く。
沈黙。
窓の外で風が揺れる。
「……怖いのは」
生徒が言う。
「待ってる間なんですよね」
遥は少しだけ視線を向ける。
「分からない時間」
一拍。
「そこが一番きつい」
教室が静まる。
遥は答える。
「そこを飛ばすために」
一拍。
「“どうせ”を使ってる」
生徒は黙る。
「便利な言葉だ」
短く。
「でも」
少しだけ間を置く。
「精度は低い」
生徒は息を吐く。
「……やめたいです」
小さく。
遥は言う。
「やめなくていい」
生徒は顔を上げる。
「え?」
「“どうせ”と思ったら」
一拍。
「ラベル貼れ」
机を軽く叩く。
「これは予測だ、って」
沈黙。
「事実じゃないって分ける」
生徒はゆっくり頷く。
「……それなら」
小さく。
「できそうです」
立ち上がる。
少しだけ姿勢が変わる。
「三回、見ます」
遥は答える。
「それでいい」
短く。
笑い声の中に戻っていく背中は、さっきより少しだけ急いでいなかった。
“どうせ”は未来じゃない。
ただの、早すぎる結論だ。