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相談者は椅子に座ってすぐ言った。
「仲いいはずなんだけどさ」
蓮司はノートを閉じる。
「何人くらい」
「グループはある。普通に笑うし、放課後もいる。でも信用はしてない」
「どう違う」
「一緒にいて楽しい。でも弱みは出せない。何か言ったら、別の場所で話題になる気がする」
蓮司は少し頷いた。
「経験あるな」
「ある。一回言ったことが、知らない奴まで知ってた。悪口じゃないけど、ネタになってた」
「それ以降」
「線引いた」
相談者は机を見る。
「今は普通に話す。でも大事なことは言わない。困ってても言わない。家のことも言わない」
「バレてると思うか」
「たぶん。浅い話しかしないから」
「それで困る?」
「困るっていうか……」
言葉を探す。
「近い感じはあるのに、実際は遠い。ずっと仮の距離」
蓮司は椅子を揺らす。
「普通だな」
「普通?」
「仲いい=全部信用、じゃない。信用は段階ある」
「でもさ」
相談者は言う。
「向こうは信用してる感じなんだよ」
「どういう意味だ」
「普通に話してくる。悩みも言う。家のことも言う。俺だけ壁あるみたいになる」
「壁あるからな」
「ある」
少し沈黙。
「外す気あるか」
「少しは」
「全部外すな。一人選べ」
「一人」
「グループは拡散する。信用は点で作る」
相談者は考える。
「一人ならいけるかも」
「あともう一つ」
「何」
「信用って、裏切られない確信じゃない。裏切られても致命傷にならない範囲を出すことだ」
相談者は少し止まる。
「なるほど」
「ゼロか百かにしてると一生ゼロのままだ」
立ち上がる。
「仲いいのに信用してないってさ」
「何だ」
「俺の問題だと思ってた」
「半分は環境、半分は選択だ」
ドアに手をかける。
「信用って疲れるな」
「だから少人数なんだよ」
ドアが閉まる。
仲の良さと信用は別物だ。
笑える相手がいても、
預けられる相手は一人いれば足りる。