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コメント
1件
うわ、これマジでゾッとした……。「関わると正常な学習を妨げる人物一覧」って、もう完全に“排除する対象”って決められてるやん。しかも美玲が晴翔を“知らないものを見る顔”で後ずさる描写、めっちゃ怖かったわ。日常の何気ない空気がじわじわ変わっていく感じ、めちゃくちゃ丁寧に書かれてて刺さった。次どうなるか気になりすぎる🔥
翌日。
晴翔は、ほとんど眠れていなかった。
目を閉じるたび、あのフォルダが浮かぶ。
【re_learning】
まるで、人間関係を“学習し直している”みたいな名前。
電車の窓に映る自分の顔は、少し青白かった。
周囲には普通の高校生。
スマホを見て、笑って、眠そうにしている。
なのに。
晴翔だけ、別の世界を知ってしまった感覚があった。
学校。
昇降口。
下駄箱。
いつも通りの朝。
でも。
視線がある。
いや。
正確には、“確認されている”。
そんな感じだった。
「おはよ」
声。
美玲。
晴翔は少し肩を揺らす。
「……おはよ」
美玲は、少し心配そうに晴翔を見る。
「顔やばいよ」
「寝れてないだけ」
「ほんと?」
その“ほんと?”が、妙に引っかかった。
疑われている。
観察されている。
晴翔は、無意識に周囲を見る。
誰も普通。
誰も変じゃない。
変なのは、自分だけ。
教室に入る。
ざわめき。
椅子の音。
笑い声。
全部いつも通り。
でも。
晴翔はすぐ気づく。
一番後ろの窓際。
瀬那の席だった場所。
そこだけ、誰も近づかない。
机も椅子も、今は別の配置に変わっている。
なのに。
そこだけ、空気が薄い。
晴翔は、ゆっくり近づく。
「友崎?」
後ろから声。
担任だった。
「席違うぞ」
晴翔は固まる。
そうだ。
もう。
そこは、“誰の席でもない”。
担任は少し困った顔をした。
「最近ぼーっとしてるな」
「……」
「大丈夫か?」
またそれだ。
“壊れかけてる人への声”。
晴翔は小さく頷き、自分の席へ戻る。
スマホを見る。
時間。
11:52
あと少し。
12:40。
“次回調整”。
何が起きる。
誰が来る。
授業中も、頭にそれしかなかった。
教師の声が、ほとんど入ってこない。
ブッ。
通知。
机の下で開く。
おすすめ欄。
【“調整前に見られる症状”】
次。
【“対象は、周囲から徐々に切り離されます”】
晴翔は顔をしかめる。
“対象”。
人間じゃないみたいな呼び方。
昼休み。
チャイム。
同時に教室が騒がしくなる。
晴翔は、すぐ時間を見る。
12:31
あと9分。
心臓が速い。
その時。
美玲が机に近づいてくる。
「今日一緒に食べる?」
晴翔は少し固まる。
珍しかった。
美玲は笑う。
「最近ずっと一人じゃん」
一人。
その単語が刺さる。
晴翔は、反射的に教室後ろを見る。
誰もいない。
本当に。
誰も。
「……うん」
気づけば頷いていた。
美玲は少し安心したように笑う。
「よかった」
二人で廊下へ出る。
購買前。
人混み。
パンの匂い。
騒がしい声。
その中でだけ、少し現実感が戻る。
美玲が言う。
「なんか最近さ」
「ん?」
「晴翔、誰か探してるみたい」
晴翔の足が止まりかける。
「別に」
「……そっか」
美玲はそれ以上聞かない。
でも。
何かを気にしている顔だった。
その時。
校内放送が流れる。
ノイズ混じり。
『――次の更新を開始します』
晴翔の呼吸が止まる。
周囲の生徒は普通に喋っている。
誰も反応しない。
聞こえているのは、晴翔だけ。
時計。
12:40
その瞬間。
全員のスマホが、同時に震えた。
ブブブブブッ。
廊下中。
一斉通知。
ざわめき。
「え、何?」
「通知やば」
「おすすめ?」
晴翔も震える手で画面を見る。
おすすめ欄。
【“現在、関係性データを最適化しています”】
次。
【“不要な接続を削除中”】
周囲の生徒達が、少しずつ画面を見始める。
その空気が変わる。
視線。
ざわめき。
小さな違和感。
そして。
晴翔の前にいた美玲が、突然眉をひそめた。
「……え?」
「どうした」
美玲はスマホ画面を見たまま、ゆっくり後ずさる。
「何で……」
その顔。
さっきまでと違う。
“知らないものを見る顔”。
美玲のスマホ。
おすすめ欄。
そこに映っていたタイトル。
【“関わると正常な学習を妨げる人物一覧”】
その一番上に。
晴翔の顔写真が表示されていた。