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日下部の相談室2

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日下部の相談室2

90 - 第90話 必要とされてない感じ

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2026年01月28日

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相談者は、今日は言葉を選ぶのに時間がかかっていた。

何度か口を開いて、閉じる。


「……自分がいなくても、困らないんだろうなって」


その一言を出すまでに、少し間があった。


「学校でも、家でも」


日下部は、急かさない。


「休んでても、特に何も起きなくて」


相談者は、どこか遠くを見る。


「連絡も来ないし、

“大丈夫?”とかも、最初だけで」

「うん」

「代わりはいくらでもいるし、

自分が抜けても、普通に回ってて」


声は落ち着いているのに、内容だけが重い。


「それってさ」


相談者は続ける。


「責められてるわけでも、嫌われてるわけでもないのに」

「……」

「だから余計に、

“必要ないんだな”って思うんです」


日下部は、少しだけ姿勢を変えた。


「存在してなくても、成立してる感じ?」

「はい」


即答だった。


「“いなくていい”って、

直接言われたわけじゃないのに」


相談者は苦笑する。


「勝手に、そう結論つけちゃう」


日下部は、静かに言った。


「それ、かなり人を削る考え方だな」


相談者が眉を上げる。


「削る?」

「うん。

“役に立ってない=価値がない”って直結させてる」


相談者は黙る。


「学校ってさ」


日下部は続ける。


「必要とされてるかどうかが、

出席とか成績とか役割で測られやすい場所なんだよ」

「……」

「でもそれ、

人の存在の一部でしかない」


相談者は、小さく首を振った。


「でも、何もしてない自分は」

「“何もしてない”って言い切れる?」


相談者は言葉に詰まる。


「ここに来て、話して、

自分の状態を必死に説明してる」


日下部は淡々と言う。


「それ、ちゃんと“生きる作業”だよ」


相談者の指が、ぎゅっと組まれた。


「必要とされてないって感じるときさ」

「はい」

「本当は、“使われてない”だけのことも多い」


少し間を置いて。


「使われてない=いらない、じゃない」


相談者の目が揺れる。


「今は、

誰かの役に立つ形に当てはめられてないだけ」


日下部は、はっきり言った。


「でも、消えていい理由にはならない」


相談者は、深く息を吐いた。


「……そう言われると」

「うん」

「“必要とされてない”って言葉、

少しだけ軽くなります」

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