テラーノベル
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ドアが開く。
相談者は少し困った顔で言った。
「仲いいはずなのに、気使ってしまう……」
蓮司は椅子を引く。
「誰に」
「一番話すやつ。毎日話すけど、どこかで気張ってる」
「どの瞬間」
「沈黙になるとき。何か話さないとってなる」
「相手は?」
「普通にしてる。気にしてなさそう」
蓮司は座る。
「じゃあ、お前だけが埋めてる」
相談者は苦笑する。
「そう……」
「それ、関係が浅いんじゃなくて、“役割が固定してる”」
「役割?」
「会話を回す側になってる。止めないようにしてる」
「無意識にやってる……」
少し沈黙。
「じゃあどうすればいい」
「一回、止めろ」
「え」
「沈黙を埋めない。10秒でいい」
相談者はすぐに返す。
「気まずくなる」
「なる。でもそれを一回通す」
「なんで」
「“埋めなくても続く関係か”が分かる」
相談者は黙る。
「今は、お前が支えてる分だけ続いてる可能性もある」
「それ、怖いな……」
「怖い。でも確認しないとずっと同じ」
間。
「もし相手も何も言わなかったら?」
「その時間も会話の一部にする」
「耐えるってこと?」
「そう。会話=言葉だけじゃない」
相談者は少し考える。
「逆に、相手が話し始めたら?」
「バランスが戻る。お前が全部やらなくていいってこと」
少し沈黙。
「なんか、手抜いてる感じする」
「手抜きじゃない。分担」
相談者は小さく息を吐く。
「確かに……」
ドアの前で立ち止まる。
「止めてもいい関係か、試すってことか」
「そう」
ドアが閉まる。
気を使い続ける関係は、
優しさじゃなくて、偏りのまま続いてるだけのこともある。
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