テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
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翌朝。
晴翔は、目覚ましより先にスマホを見た。
見たくなかった。
でも。
気になってしまった。
通知。
特に変わったものはない。
問題は、動画アプリだった。
昨夜。
あのおすすめを見てから、頭から離れない。
【友達に嫌われた時の対処法】
ただの偶然。
そう思いたいのに。
湊の言葉が、妙に引っかかっていた。
“空気ズレてね?”
晴翔は、小さく息を吐いてアプリを開く。
読み込み。
そして。
おすすめ欄。
【嫌われ始めた人が最初にされること】
晴翔の指が止まる。
次。
【グループLINEから自然に外される人の特徴】
【周囲が距離を置き始める瞬間】
「……は?」
心臓が嫌な音を立てる。
しかも。
全部。
昨日より具体的だった。
学校。
廊下。
晴翔は、教室へ向かいながら周囲を見る。
いつも通り。
……のはず。
でも。
やけに人の視線が気になる。
笑い声が聞こえるたび、自分のことを言われてる気がする。
その時。
肩を叩かれた。
「顔終わってる」
振り向く。
瀬那。
眠そうな顔。
でも、目だけは真剣だった。
「見た?」
晴翔は少し黙る。
「……見た」
瀬那が、 小さく舌打ちした。
「だから言ったのに」
「何なんだよあれ」
「知らねぇ」
瀬那は、スマホをポケットに押し込む。
「でも見たやつから崩れる」
「崩れるって」
瀬那は、少しだけ言葉を止めた。
そして。
「おすすめ通りになる」
教室。
入った瞬間。
ほんの少しだけ、空気が止まった気がした。
一瞬。
本当に一瞬だけ。
でも。
晴翔は気づいてしまった。
何人か、自分を見て。
それから目を逸らした。
「おはよ」
声をかける。
返事。
少し遅れる。
「あ、うん」
ぎこちない。
晴翔の胸がざわつく。
気のせい。
……だよな。
席に座る。
その時。
前の方から笑い声。
「それマジ?」
「いや普通に引いた」
会話。
よくあるやつ。
でも。
“引いた”。
その単語だけ、やけに耳に残る。
晴翔は、無意識にスマホを開いていた。
おすすめ欄。
更新。
【“嫌われてるかも”と思った時にやりがちな行動】
背筋が冷える。
まるで。
今の自分を、見られているみたいだった。
「もう見るな」
横。
瀬那が低く言う。
晴翔は、小さく笑おうとした。
「いやでも気になるだろ」
「だから終わるんだよ」
瀬那の声は、冗談じゃなかった。
「見れば見るほど、そっち寄りになる」
「……」
「おすすめってさ」
瀬那が、静かに窓の外を見る。
「本人が一番不安なこと出してくるんだよ」
晴翔は、言葉を返せなかった。
その時。
教室後ろ。
小さな悲鳴。
全員振り向く。
美玲だった。
スマホを落としている。
顔面蒼白。
「やだ……」
震える声。
友達が、慌てて駆け寄る。
「どうした?」
美玲は、スマホ画面を見たまま固まっていた。
晴翔にも、少しだけ見える。
おすすめ欄。
【学校を休み始めた人の一日】
静寂。
美玲が、ゆっくり首を振る。
「違う」
誰に言うでもなく。
「違うから……」
でも。
その瞬間。
教室前方。
誰かが小さく呟いた。
「最近来るのしんどそうだよね」
美玲の呼吸が止まる。
空気が変わる。
クラス全体が。
“そういう目”で、美玲を見始める。
晴翔の喉が冷える。
おすすめが。
未来を当ててるんじゃない。
見た人間を、そっちへ押してる。
その時。
ブッ。
晴翔のスマホ。
通知。
動画アプリ。
嫌な予感。
開く。
新しいおすすめ。
【“味方だと思っていた人”が離れる前兆】
晴翔は、ゆっくり瀬那を見た。
瀬那は、その画面を見て。
初めて、はっきり顔色を変えた。
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