テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
361
放課後の教室は、もうほとんど空になっていた。
残っているのは、窓際の光と、机に落ちた影だけだった。
晴翔は、帰るタイミングを失ったまま座っていた。
スマホは、開いたまま。
閉じるのが怖い。
おすすめ欄。
【“関係を切るべきタイミングの見分け方”】
晴翔は、ゆっくり息を吐いた。
「もう……何なんだよ」
小さく呟く声は、誰にも届かない。
瀬那は、隣の席に座ったまま黙っている。
いつもなら帰っている時間なのに、今日は動かない。
「これさ」
スマホを少しだけ傾ける。
瀬那の視線がそこに落ちる。
一瞬。
ほんの一瞬だけ、表情が硬くなる。
「……来たな」
「来たって何が」
瀬那は、言葉を選ばずに言った。
「“切る理由”」
晴翔は、意味が分からず眉をひそめる。
「理由って何だよ」
瀬那は、机に指を置いたまま続ける。
「関係を終わらせるための説明」
晴翔の喉が少し詰まる。
「説明って」
「空気とか、周りとか。“なんとなく”ってやつ」
その言葉が、やけに重かった。
教室の外から、部活の掛け声が遠くに聞こえる。
でもこの空間だけ、切り取られたみたいに静かだった。
その時。
ブッ。
晴翔のスマホが震える。
反射で見てしまう。
もう、止められない。
おすすめ欄。
更新。
【“距離を置かれた後の教室で起きること”】
晴翔の指が止まる。
「……は?」
声が漏れる。
瀬那が画面を見て、小さく息を吐いた。
「もう一段きた」
「何が」
瀬那は答えない。
ただ言う。
「“結果”まで出してる」
「結果?」
瀬那は少しだけ視線を上げる。
「お前と俺の終わり方」
その瞬間。
晴翔の背中が冷える。
教室の奥で、誰かが言った。
「でもさ」
「やっぱ最近さ」
言葉が途切れる。
続きは、誰もはっきり言わない。
でも。
“空気”だけが先に完成していく。
晴翔は気づく。
まただ。
これも。
美玲の時と同じ。
瀬那の時と同じ。
「見たこと」が、「そうなる理由」に変わっていく。
瀬那が突然立ち上がる。
椅子が小さく鳴る。
「どこ行く」
瀬那は一度だけ晴翔を見る。
その目は、いつもより少しだけ近い距離にあった。
「一回、離す」
「何を」
瀬那は少し間を置いてから言った。
「この距離」
その言葉だけが、やけに静かに残った。
コメント
1件
えー!!もうこの回めっちゃエモかった😭💕 おすすめ欄に映る“関係を切るタイミング”がリアルすぎて胸がギュッてなったよ…。晴翔の目線で静かに進む教室の空気、ほんとやばい…。瀬那が「この距離」って言った瞬間、背中が冷えた感覚、まじで伝わってきた!! 続きが気になりすぎて今夜眠れないかも🤦♀️🌸 ruruhaさんの空気の描き方、天才すぎるよ!!