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#和風ファンタジー
るしゅ
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最初に気づいたのは、写真だった。 相沢はスマホのカメラロールをぼんやり眺めていた。 特に意味はない。 ただの暇つぶしだ。 だが途中で指が止まる。
相沢
知らない写真があった。 夜の部屋。 電気はついていない。 暗い中、ベッドが写っている。 その写真は、“ベッドの横から”撮られていた。
相沢
撮影日時は昨日の深夜。 自分はその時間、寝ていたはずだ。 なんとなく部屋を見渡す。 今いるこの部屋。 写真と同じ配置。 同じベッド。 同じカーテン。 ただ一つ違うのは“撮影位置”。 写真は、今自分が立っている位置からではない。 もっと近い。 ベッドのすぐ横。 まるで、そこに誰かが立っていたみたいに。
相沢
軽く笑ってスマホを伏せ、ベッドに腰を下ろす。 その瞬間、視界が少しだけズレた。
相沢
ほんの一瞬だけ、自分が“ベッドの横に立っている視点”になった。 すぐに戻る。
相沢
意味が分からない。 今、自分は座っているはずなのに、“立って見ていた”。
相沢
そう呟いて立ち上がる。 またズレた。 今度ははっきり。 ベッドの横から、“立ち上がる自分”を見ている。
相沢
呼吸が浅くなる。 視界は戻る。 だが背中側に、もう一つの視線がある気がする。
相沢
振り返る。 誰もいない。 鍵も閉まっている。 その時、スマホが震えた。 通知はないのに、カメラアプリが開いている。
相沢
画面には今の部屋。 リアルタイムの映像。 その中に自分がいる。 問題ない。 ただ一つ、違う。 自分の後ろに、“誰かが立っている”。
相沢
ゆっくり首を回す。 後ろを見る。 誰もいない。 なのに画面の中では、“それ”が確実にそこにいる。 そして、“それ”がスマホを持っている。
相沢
画面の中の“それ”が、こちらにスマホを向けている。 つまり今見ているこの映像は、“そいつの視点”。 次の瞬間、視界が切り替わった。 ベッドの横。 そこに立って、“自分の背中”を見ている。 手にはスマホがある。 画面の中に、こちらを見ている“自分”。
相沢
声が出た。 どっちの口から出たのか分からない。 そして理解する。 これは、“今、撮っている写真”だ。 シャッター音。 視界が戻る。 手元のスマホに新しい写真が追加されている。 そこには、ベッドの横に立つ“自分”と、振り返る“自分”が同時に写っていた。
相沢
息が詰まる。 写真の右下に、小さく文字がある。 ――次は、どっちで見る?