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『お餅』🌹
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るしゅ
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昼休み。教室。 白石美咲の席は、空いていた。 でも。透は、妙な違和感を覚えていた。 朝よりさらに。“席が薄い”。 そこにあるのに、目が合わない。 見ようとすると、意識が滑る。 まるで。存在そのものが、ぼやけてるみたいだった。
伊織
透
伊織が、スマホ画面を見せてくる。
伊織
透
画面。白石美咲。トーク一覧。 本当だ。アイコンが灰色になっている。 初期設定みたいな、何もない丸。
伊織
結衣
結衣が小さく呟く。結衣の顔色が悪い。
奈央
凛
透
透は、何となくトーク画面を開く。
【未読12件】
また増えてる。しかも。スクロールしても、 終わらない。
【なんで】
【なんで】
【なんで】
【返して】
【見えてる?】
【まだいるよ】
透
気持ち悪い。指が止まる。 その時。 ブッ。 耳元。通知音。近い。 透が反射的に振り返る。誰もいない。 でも。後ろの席。白石の机。 その中から。 ブッ。 透の呼吸が止まる。
伊織
凛
結衣
結衣も聞こえたらしい。 透はゆっくり、白石の机を見る。静か。 でも。また。 ブッ。 机の中。
透
奈央
伊織
伊織が近づく。白石の机。ゆっくり。 中を覗く。そして。
伊織
固まる。
透
伊織が、無言で中を指差す。透も覗く。 そこ。スマホ。白石の。 画面が光っている。 通知。
【朝比奈透:未読12件】
透の背筋が凍る。
伊織
結衣
誰も答えない。その瞬間。スマホ画面。 勝手にスクロール。メッセージが増える。
【ねぇ】
【寒い】
【透】
【声聞こえる?】
ブッ。 机の中から、通知音。 ブッ。 ブッ。 ブッ。 止まらない。
結衣
結衣が離れる。
奈央
透は震える手で、スマホを掴む。 冷たい。異常なくらい。
透
電源ボタン。長押し。 でも。切れない。画面が、点滅する。
【未読13件】
【未読14件】
【未読15件】
増えていく。
透
その時。後ろ。誰かの声。小さい。掠れた声。
『……とおる』
透が凍る。 ゆっくり振り返る。白石の席。誰もいない。 でも。椅子が、少しだけ引かれていた。 ギ……。 まるで。今。誰かが座ったみたいに。