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遥
呼吸が浅い。うまく吸えない。
日下部
遥は聞こえていない。視線が合っていない。 教室じゃない場所を見ている。
蓮司
日下部
遥
小さい。掠れた声。
遥
蓮司と日下部が止まる。 遥の指が震えている。 何かを押し返すみたいに、自分の腕を掴んでいる。
遥
息。詰まる。
遥
視線が揺れる。もう今の教室を見ていない。
――暗い倉庫。 体育祭の準備期間。人がいない校舎裏。 閉まる扉の音。笑い声。
A
腕を掴まれる。強い。痛い。
B
全然大丈夫じゃない声。 背中を押される。壁。逃げ場がない。
C
A
制服を掴まれる。肩に触れる手。 振り払っても意味がない。力が違う。
遥
笑われる。
B
首元。近い息。押さえつけられる腕。
C
怖い。苦しい。気持ち悪い。 でも。叫んだらもっと酷くなる気がして。
A
笑い声。スマホの光。
B
遥
現実の教室。遥の呼吸が完全に崩れる。
蓮司
肩が跳ねる。
遥
腕を振る。触られると思った。
日下部
低い声。一定。
日下部
遥
日下部
遥は震えながら息を吸おうとする。 でも、まだ戻れない。
――狭い空間。笑い声。制服のボタン。
A
B
押さえられる手首。痛い。逃げたい。 でも動けない。
C
A
笑い。 笑い。 笑い。
遥
耳を塞ぐ。現実と過去が混ざる。
蓮司
遥
蓮司
遥の視線が少し揺れる。
蓮司
遥
蓮司
日下部
日下部
遥
呼吸。少しだけ空気が入る。 でも涙が止まらない。
遥
蓮司
遥
遥
声が崩れる。
日下部
遥
日下部
その言葉に。遥の呼吸がまた乱れる。 まるで、今まで一度も許されたことがなかったみたいに。
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