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ハチ
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教室は、何も変わっていなかった。 机も、椅子も、黒板も。 ただ、“一つも減っていない”。 刑事は、教室の後ろに立っている。
教師
淡々とした声。
刑事
教師
刑事は、ゆっくりと歩く。 窓際の席の前で止まる。
刑事
教師
一瞬の間。 教師の視線が、わずかに逸れる。
刑事
教師
刑事
教師
言い直す。
教師
刑事
教師
刑事
教師
刑事
教師
刑事は振り返る。
刑事
教師の喉が、わずかに鳴る。
教師
刑事
教師
答えない。 刑事は机に手を置く。 その瞬間。微かに、沈む。 刑事の動きが止まる。
刑事
ゆっくりと、手を離す。 何もない。ただの机。 刑事は、何も言わない。
職員室。
刑事
教師
刑事
教師
刑事
教師
刑事
教師
強い言い方。 刑事は視線を外さない。
刑事
教師
刑事
教師
刑事
教師
刑事
教師
即答。
教師
刑事
教師
教師の額に汗が浮く。
教師
小さな声。刑事の目が細くなる。
刑事
教師
止まる。言い直す。
教師
刑事
教師
刑事
教師
刑事
教師
刑事
教師
刑事
教師
思わず声が上がる。 職員室が静まる。 教師は息を整える。
教師
刑事
教師
答えられない。
夜。 誰もいない教室。 刑事は一人で入る。 電気はつけない。月明かりだけ。 窓際の席に近づく。
刑事
返事はない。 刑事は、ゆっくりと椅子を引く。 座る。その瞬間。 “重い”。 まるで、誰かの上に座っているみたいに。
刑事
立ち上がる。椅子を見る。 何もない。 刑事は息を吐く。
刑事
そのとき。 黒板。チョークの音。キィ、と。 誰もいないはずなのに。 文字が、書かれていく。 ゆっくりと。 歪んだ字。
『きのう』
止まる。 次の一行。
『なまえ』
刑事は動けない。 さらに、書かれる。
『よばれなかった』
刑事
声が震える。 教室の奥。気配。 誰かが立っている。 暗くて、顔は見えない。 ただ、“そこにいる”。
刑事
沈黙。 その影が、一歩近づく。 床が、軋む。 刑事の喉が乾く。
刑事
影は、止まる。 そして。ゆっくりと、首を傾ける。
柊
声。はっきりと。教室に響く。
柊
刑事の背中に冷たい汗が流れる。
刑事
柊
一歩、近づく。
柊
刑事
否定できない。 映像を見た。知っている。
柊
さらに近づく。
柊
刑事
言葉が出ない。
柊
すぐ後ろ。 気配が、すぐそこにある。
柊
刑事の肩に、何かが触れる。 冷たい手。
刑事
振り払う。 何もいない。 だが。黒板。新しい文字。
『せんせい』
その下に。
『けいじ』
刑事の呼吸が止まる。
柊
耳元。すぐ近くで。
柊
刑事
振り返る。誰もいない。 教室は、静まり返っている。
翌日。 教室。担任が立っている。 いつも通り。出席簿を開く。
教師
名前を呼ぶ。一人ずつ。 何事もなく進む。 最後。担任が、一瞬だけ止まる。 何かを思い出すように。
教師
出席簿を閉じる。 欠席者はいない。 机は、すべて埋まっている。 一席も、空いていない。
職員室。
教師A
教師B
教師A
教師C
誰も続けない。
教師C
一人が、ふと呟く。空気が止まる。
教師A
教師B
思い出そうとして、やめる。
教師B
教師A
あっさり引く。 それ以上、誰も考えない。 机の上。書類が一つ、残っている。 未処理のまま。 表紙。担当者名の欄。空白。 最初から、誰もいなかったみたいに。
教室。
教師
変わらない声。 変わらない風景。 誰も足りない気がしない。 黒板。誰もいない放課後。 チョークが、勝手に動く。
『みてたよね』
一度、止まる。 ゆっくりと、続きが書かれる。
『つぎ』