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担任
教室がざわつく。 ほとんどの生徒はもうインストール済みで、画面を開いている。
佐伯
三浦
担任
田中
担任は一度クラスを見回してから続けた。
担任
一瞬、空気が止まった。
佐伯
三浦
担任
軽い笑いが起きるが、完全な冗談ではないことは全員分かっていた。
担任
キーボードを打つ音が一斉に鳴る。 湊は少し考えてから、短く書いた。
湊
送信した直後、画面の数字が動く。 👍:1 少しして、👍:2 そこで止まる。 それ以上、増えない。 後ろの席から声が飛ぶ。
佐伯
三浦
田中
数人が小さく笑う。 クラスの何人かは、実際に画面を見ている。 誰の投稿がどれくらい伸びているか、すぐに分かる仕様だった。
佐伯
佐伯
送信から数秒で数字が跳ね上がる。 👍:12 👍:21 👍:27
三浦
田中
周りも次々といいねを押している。 押すこと自体が、もう一つの“会話”みたいになっていた。 そのとき、湊の画面に通知が出る。
【リアクション未達:0 / 3】
【本日の最低リアクション数を満たしていません】
評価に影響する、という小さな文字もついている。 湊は一瞬だけ止まってから、“おすすめリアクション”を開いた。 そこには例文が並んでいる。
いいですね!
応援してます!
素敵だと思います!
考えても分からないので、そのまま使うことにした。
湊
湊
湊
送信するとすぐに既読がつく。 でも、いいねは一つも増えない。 ただ“見られただけ”の状態が残る。
三浦
佐伯
田中
近くの席だけじゃない。 少し離れた女子のグループも、画面を見て笑っている。 “全員が見えている”という感覚があった。 すぐに、別の通知が入る。
AI
三浦
佐伯
田中
“ちゃんと”が何かは説明されないのに、分からないままではいけない空気だけははっきりしていた。 湊はもう一度、自分のログ画面を開く。少し迷ってから打ち込む。
湊
送信。 👍:1 それ以上は増えない。
佐伯
三浦
田中
誰かが笑う。誰も止めない。 すぐに通知が重なる。
AI
【注意:ネガティブ表現が検出されました】
担任
名前だけ呼ばれる。
湊
担任
短い言葉だったが、それだけで十分だった。 クラスの視線が一瞬だけ集まって、すぐ逸れる。 関わらない方がいい、という判断が早い。 湊はもう一度、入力欄を開いた。 「普通に書いただけなのに」 そこまで打って、止まる。 このまま送ったらどうなるかは、もう分かっている。 少し考えて、その文章を全部消した。 代わりに、書く。
湊
送信。 👍:9 👍:15 👍:18 今までより明らかに多い。
佐伯
三浦
田中
今度は笑い方が違う。 軽い嘲りじゃなく、“納得”に近い。
AI
画面の下に、評価が表示される。
【本日の深瀬湊:安定】
教室はいつも通りに戻っていた。 誰も怒っていない。 誰も命令していない。 ただ、それでも流れは決まっている。 何を書けばいいか。 何を書いてはいけないか。 湊は、もう理解していた。
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猫塚ルイ
