テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ruruha
るしゅ
24
机の中に、ノートが入っていた。 見覚えはない。 表紙には、名前も何も書かれていない。 中を開く。 一ページ目。
「今日からこれ、回すことになった」
誰の字か分からない。 でも、クラスの誰かの字だ。 二ページ目。
「ルールは簡単。書いたら次のやつに回す」
三ページ目。
「絶対に、途中でやめるな」
そこで止まる。 空白のページ。白紙。
神谷
ページをめくる。 途中まで全部、空白。
そして。一番後ろのページ。 そこだけ、文字がある。
「もう読んでるよな」
神谷
日付が書いてある。 明日の日付。 神谷は眉をひそめる。 冗談だと思う。 でも。その下に続く文章。
「たぶん、最初は机の中にあったはずだ」
神谷の手が止まる。
「で、最後のページから見た」
心臓が一拍、遅れる。
神谷
ページを戻る。 さっきの空白。 そこに、文字が浮かんでいる。
「今、戻ったよな」
神谷はノートを落としそうになる。
神谷
さっきまで、何もなかった。 確実に。 でも今は。書かれている。
「気づいた?」
呼吸が浅くなる。 ページをめくる。 一ページずつ。 空白だったはずの場所に。 少しずつ、文章が増えている。
「これ、未来のことじゃない」
「お前が読んだ順番で、後から書かれてる」
神谷
手が震える。
「今、意味分からんって思ったろ」
神谷は、ノートを閉じる。 机に置く。 距離を取る。
神谷
しばらく見つめる。 何も起きない。 深呼吸。 神谷は、もう一度ノートを開く。 さっきのページ。 さらに文章が増えている。
「閉じたよな」
「でもまた開くと思ってた」
神谷
答えは、次の行にある。
「分かってるんじゃない」
「決まってるだけだ」
背筋が冷える。 神谷は、ページを一気にめくる。 後ろへ。 最後のページ。 さっきと同じ。 でも。文章が増えている。
「ここまで来たら、もう止まらない」
神谷
ノートを閉じる。 そのまま、カバンに突っ込む。 帰る。もう見ない。そう決める。
夜。部屋。 カバンの中から、ノートを取り出す。
神谷
手が、勝手に動く。 ノートを開く。 最後のページ。
「開いた」
神谷
その下。
「じゃあ、次はここだ」
ページが、勝手にめくれる。 真ん中あたり。 そこには。さっきまでなかった文章。
「このあと、お前は“書く”」
神谷
即答する。 ペンを持たない。絶対に。 でも。 気づくと、手にペンを握っている。
神谷
手が動く。 ノートに触れる。 ペン先が紙につく。 止められない。
神谷
書いている。 自分の意思じゃない。 文字が浮かぶ。
「次に読むやつへ」
神谷の視界が揺れる。 そのとき。ノートの文字が、変わる。 さっき自分が書いたはずの文字。 それが。 最初からそこにあったみたいに、馴染む。
神谷
最初のページに戻る。 そこに。新しい一行が増えている。
「今日からこれ、回すことになった」
その下。
「神谷が書いた」
神谷は、息を止める。 ノートを閉じる。 もう、分かっている。 これは。未来を書いてるんじゃない。 読んだ結果が、最初に戻ってる。 循環している。 逃げ場がない。
翌日。 机の中。 ノートが入っている。 知らない誰かが、それを開く。 そして。最初のページを読む。
「今日からこれ、回すことになった」
少し下。
「神谷が書いた」
そのさらに下。 空白。 まだ、何も書かれていない。 これから。書かれるから。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!