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教室の明かりが消され、スマホの光だけが点滅する薄暗い空間。加害者たちは椅子や机を寄せ集め、簡易的な“檻”を作り始めていた。ワイヤーや段ボールを組み合わせたその枠の中で、遥がひざまずく。
息が荒く、肩が震えるのを隠せない。逃げようと動けば、すぐに手が伸び、強引に押さえつけられる。
「はい、こいつ檻の中ね。さっそく撮るぞ」
笑い声が響く。
「昨日の怯え顔の続きだ。泣くまで待とう」
誰かがスマホを構え、角度を確認する。
遥はただうつむき、声を殺して息を吐く。声を出せば、次の“リクエスト”が待っているのはわかっていた。
「おい、もっとちゃんと従え。手ぇ上げろ」
言葉だけでなく、机の角で肩を軽く叩かれ、膝に圧がかかる。
体を押さえつけられる感覚と、逃げられない恐怖。
目を合わせる相手は、笑いながらカメラを構える同級生だけ。
自分はもう、遊びの対象でしかないことが痛いほど伝わる。
「はい、こっち向いて。泣く練習な」
「うわ、首輪つけたらもっと映えるんじゃね?」
誰かが段ボールの枠に小さな鎖を通し、即席の首輪を遥にかける。
それを見た瞬間、胸の奥から冷たいものが湧き上がり、足先まで震えが走った。
「動くな、従え。さもないともっと痛いぞ」
声は冗談めかしているが、手が肩を押さえ、膝にぶつかるたび、痛みは現実そのものだ。
涙が勝手にこぼれ、顔をかすめる。
逃げ場も、守ってくれる大人もいない。
これは演技でもゲームでもなく、自分の現実だ。
スマホの画面越しに、加害者たちは声をあげて笑う。
「ほら、泣いた! バズるぞ」
「怯えてる顔、最高だわ」
遥の胸の奥で、ほんの一瞬、心が叫ぶ。
『やめてくれ……』
しかし声にならない。体は拘束され、涙で視界がぼやける。
それでも、彼らの指示に従うしかない。
この檻の中で、どれだけ辱められても、逃げることは許されないのだ。