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シュメール
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#学園
要 九十九
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#読み切り
ruruha
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放課後。
教室の後ろで椅子を引く音がして、それもすぐ止む。
生徒は机に肘をつかず、姿勢だけ中途半端に固い。
「会話のテンポが合わないんです」
遥はペンを置く。
「誰と」
短く。
「クラスのやつとか。
グループの時とか」
一拍。
「なんか、自分だけ遅れる」
視線が下がる。
「返事考えてる間に次の話題いくし、
入ろうとした時には終わってる」
沈黙。
「で」
少し苦く笑う。
「タイミング逃して黙る」
遥はすぐ返す。
「会話を“正解制”で見てるな」
短く。
生徒は止まる。
「……正解制?」
遥は机に指を置く。
「ちゃんと返そうとしてる」
一拍。
「ズレないように。
変にならないように」
短く。
「だから遅れる」
教室が静まる。
「……でも」
生徒は言う。
「適当に返したら変になりません?」
遥は否定しない。
「なる時もある」
短く。
「でも今のお前」
一拍。
「“ズレない”を優先しすぎて、会話から外れてる」
沈黙。
生徒は言葉を止める。
遥は続ける。
「会話って」
短く。
「内容より、流れの方が先だ」
教室の空気が少し変わる。
「……流れ」
遥は言う。
「テンポ合ってるやつって」
一拍。
「別に毎回うまいこと言ってない。
ただ、止めてない」
沈黙。
「……あ」
小さく出る。
「確かに、ノリで返してる感じあります」
遥は短く言う。
「会話はキャッチボール寄りだ」
一拍。
「作文じゃない」
教室が静まる。
生徒は少し考える。
「……自分、文章みたいに考えてました。
ちゃんと繋がるようにとか、
意味通るようにとか」
遥は言う。
「それ、速度合わない場面だと重い」
短く。
沈黙。
「じゃあ」
生徒は言う。
「どうすればいいですか」
遥は少しだけ間を置く。
「“完成”させるな」
短く。
生徒は眉を寄せる。
「……完成?」
「途中で返せ」
一拍。
「全部まとまってなくていい」
教室が静まる。
「リアクションだけでもいい。
短くてもいい」
一拍。
「まず流れに残れ」
沈黙。
生徒は息を吐く。
「……入ってから考える感じか」
遥は短く言う。
「そうだ」
教室の空気が少し軽くなる。
「あと」
遥は続ける。
「お前、多分」
一拍。
「“間”を怖がってる」
生徒は止まる。
「……分かります」
小さく。
「止まると、自分のターン来る感じして」
「焦る」
遥は言う。
「だから急いで正解探す」
短く。
「でも周りは」
一拍。
「そこまで見てない」
沈黙。
生徒は苦笑する。
「自分だけ必死だったんですね」
遥は何も言わない。
「会話って」
生徒は言う。
「ちゃんと答える場所じゃなくて」
一拍。
「流れ続ける方が大事なのか」
遥は短く言う。
「特にな」
教室は静かになる。
生徒は立ち上がる。
「考えてから入るんじゃなくて」
一拍。
「入ってから合わせる」
自分で言う。
「そっち試します」
遥は何も言わない。
生徒はドアに向かう。
足取りは少しだけ自然だった。
テンポがズレるのは、遅いからじゃない。
“ちゃんとやろう”が多すぎて、流れから外れてるだけだ。