テラーノベル
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教室の片隅、影のように座る陰キャたちは、誰にも見られずにスマホを覗き込み、互いにひそひそ声を漏らす。画面に映るのは、遥が美桜たちの命令で動かされる動画だった。
「ほら……見ろよ、檻の中で怯えてる顔……」
一人が呟く。
「くそ、たまんねえな……昨日の続きだろ?」
別の声が続く。
彼らの視線は、ただの映像を追う目ではない。遥の姿が、自分たちがいつも虐げられてきた屈辱を再演しているように見えるのだ。手を差し伸べることも、救うこともできず、ただ見て、想像の中で権力を握る。
「このまま従わせたら……どうなるか想像してみろよ」
「泣いても、暴れても、俺たちの思い通りになる……」
スマホを置くと、陰キャたちは無言で顔を見合わせ、次の計画を組み立てる。倉庫、体育館裏、空き教室——人目につかない場所で、妄想の通りに遥を従わせることを。
次の日、放課後の倉庫。陰キャたちは互いに息を潜め、遥を呼び寄せる。遥はいつものように静かに従いながらも、心の奥で小さな警戒を鳴らしている。彼らは妄想を現実に変えようと、命令の順序や動作の細部を確認する。
「おい、檻に入れ」
「そこにしゃがめ」
「手、ここに置け……動くなよ」
声は低く、しかし支配的。妄想の中で培った興奮が、現実の暴力へと形を変えている。遥は抵抗しないが、恐怖と羞恥に体が強張る。陰キャたちは、彼の反応一つひとつを楽しみ、次の命令を試す。
教室でも、女子や陽キャの目が届かない場所で、妄想はより具体化する。隠れて見ていた者が、動画の中で見た「檻や従順の演出」を再現しようと声をかける。遥は小さな声で返事をする。
「……わかった」
「……はい」
その声に、陰キャたちは顔をゆがめて喜ぶ。妄想が現実に反映される瞬間。教室の隅、倉庫の奥、体育館裏——どこでも同じだ。彼らの欲望は、自分たちの屈辱を遥に転嫁する形で現実化していく。
動画で見たことと同じ、しかしより生々しい現実。遥は従いながらも心を締めつけられ、彼らの興奮を肌で感じる。陰キャたちはそれを見て、次の妄想を重ねる——次はもっと屈辱的に、もっと従わせるように。
彼らの妄想と現実は、こうして重なり、遥の世界をさらに狭め、逃げ場のない地獄の連鎖を作り出していた。
𝐚𝐨𝐢
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