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『お餅』🌹
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るしゅ
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夜。透は、 眠れなかった。 部屋を暗くしても。スマホ画面の光だけが、ずっと視界に焼き付いている。
【未読6件】
減らない。電源を切っても。再起動しても。 消えない。 透はベッドに寝転びながら、天井を見る。静か。 ……のはずなのに。 ブッ。 耳元。通知音。
透
もう、スマホを見なくても分かる。 増えた。 透は恐る恐る画面を見る。
【未読7件】
送り主。
【不明なアカウント】
メッセージ。
【入力中…】
透
止まらない。
【入力中…】
【入力中…】
【入力中…】
ずっと。誰かが、文章を打ち続けている。 でも。送られてこない。 透の喉が乾く。 気味が悪い。数分。ずっと。
【入力中…】
透
思わず呟く。 その瞬間。画面。ピタッと止まる。静止。 透の呼吸が止まる。 そして。新着メッセージ。
【見えてるんだ】
透がスマホを落とす。 ガタン。 床。でも。通知音は止まらない。 ブッ。 ブッ。 ブッ。 部屋の中。あちこちから。 机。クローゼット。カーテンの裏。 “誰もいない場所”から、通知音が鳴る。
透
ブッ。
『あとで返す』
透が凍る。 声。小さい。でも、はっきり聞こえた。
『あとで返す』
『あとで返す』
『あとで返す』
部屋中。何人もの声。 全部。透が今まで、誰かに送ってきた言葉。
透
耳を塞ぐ。でも。止まらない。
『今返す』
『ごめん寝てた』
『気づかなかった』
『また後で』
全部。軽く返してきた言葉。 その時。 ブッ。 通知。
【白石美咲】
【寒い】
透の背筋が凍る。その瞬間。窓。 コンッ。 何か当たった音。 透がゆっくり見る。カーテンの隙間。 誰かいる。ベランダ。 四階。いるはずない。 でも。白い顔。髪の長い女子。スマホを持っている。
透
画面が光る。その女のスマホ。 ブッ。 透のスマホ。同時に鳴る。透が後ずさる。 女の顔。ぼやけている。ノイズみたいに。 でも。口だけが動く。
『みて』
透が、震える手でカーテンを閉める。 呼吸が乱れる。その瞬間。スマホ。新着。
【白石美咲】
写真。透は、恐る恐る開く。暗い場所。 白石の自撮り。……じゃない。 画面が揺れている。動画。 どこか、狭い場所。白石の荒い息。
『透』
震えた声。
『みんな、見えなくなってく』
ガタッ。 何か動く音。白石が、怯えたように後ろを見る。 でも。そこには誰もいない。 なのに。通知音だけが鳴っている。 ブッ。 ブッ。 ブッ。 白石が泣きながら、スマホを握る。
『返信して』
その瞬間。動画の後ろ。暗闇。 大量のスマホ画面が、一斉に光った。