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猫塚ルイ

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黒板には、すでに名前が並んでいる。 消えた順番で。 そして、一番下に残っているのは、今ここにいる四人分。 教室の空気は、静かすぎた。 逃げ場がない、というより、 “逃げるという選択肢自体が存在しない”空間。 柊は、後ろの席でそれを見ている。 ただ、見ている。
男子B
男子B
男子C
男子B
男子C
女子B
女子B
男子A
女子B
女子B
女子B
男子A
男子C
男子B
その瞬間。 床が、ゆっくりと“呼吸するみたいに”沈む。 音はない。 ただ、“重さだけ”が変わる。
柊(誰も、 現象そのものは否定していない。揺れも、沈みも、 全員が感じている。なのに——)
男子B
男子B
男子B
男子C
男子B
男子B
男子C
男子A
女子B
男子B
男子B
男子A
男子C
女子B
さらに沈む。 “否定した分だけ”、 床が応えるみたいに。
柊(ここでは、事実は関係ない。“認めたかどうか”だけが、重さになる)
膝が、消える。 まるで最初からそこに無かったみたいに。
女子B
女子B
女子B
男子A
女子B
男子C
女子B
女子B
その言葉で。 “折れる音”がした。 身体じゃない。 何か、もっと内側の。
男子B
男子B
男子B
男子C
男子A
女子B
男子B
男子B
男子C
男子A
女子B
男子B
男子B
男子B
男子C
男子A
女子B
沈む。 腰まで。 もう、抜け出せない深さ。
柊(“共有されていたはずの記憶”が、一人ずつ、切り捨てられていく)
男子B
男子B
男子B
男子B
男子B
男子B
男子B
男子C
男子A
女子B
その言葉で。空間が、確定する。
男子B
男子B
男子B
男子B
沈む。一気に。抗う余地もなく。
女子B
女子B
女子B
女子B
女子B
男子A
男子C
男子B
女子B
女子B
女子B
女子B
言葉が、途中で途切れる。 口が動いても、音にならない。 存在そのものが、“記録から削除される”みたいに。 静寂。 黒板に、数字が増える。 一つ。また一つ。 ゆっくりと、確実に。
柊(同じ)
あの時と。同じ。 柊は、黒板を見る。 そして、自分の名前の隣にある数字を確認する。 増えている。確実に。
柊(“見ていた側”も、例外ではない)
教室には、もう誰もいない。 最初からそうだったみたいに。 黒板の一番下。最後の一行。 新しく刻まれる。
『証言者全員、有罪』
柊は、チョークを置く。 音が、やけに大きく響いた。
柊
小さく。誰もいない教室で。
柊
窓の外は、普通の昼間だった。 何も変わらない。 誰も気づかない。 ただ、黒板だけが、全部、覚えている。