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ハチ
56
職員室の空気は、やけに静かだった。 録音機の赤いランプだけが、点いている。
刑事
教師
椅子が軋む。 教師は一度だけ、教室の方を見た。
刑事
教師
即答だった。 迷いがない。 刑事は小さく頷く。
刑事
教師
一拍。 それでも、否定は変わらない。
刑事
教師
刑事
紙に何かを書き込む音。 刑事は顔を上げる。
刑事
教室。 机は整然としている。 一つも欠けていない。
刑事
斎藤
刑事
斎藤
刑事
斎藤
刑事
斎藤
刑事
斎藤
刑事
斎藤
別の生徒。
刑事
小林
刑事
小林
刑事
小林
刑事
小林
刑事
小林
また別。
刑事
三浦
刑事
三浦
刑事
三浦
刑事
三浦
証言は、すべて揃っていた。 暴力はない。 いじめもない。 無視も意図的ではない。 誰も関わっていないだけ。 ただそれだけ。 ただ、それだけのはずだった。 刑事は一度、教室の後ろを見る。 窓際の席。 空いている。 そこが、柊の席だと聞いている。
刑事
誰も答えない。
斎藤
同じ答え。揺れない。
刑事
メモを閉じる。 そのとき。 足元で、何かが鳴った。 コツ、と。 小さな音。 刑事がしゃがむ。 机の下。 何かが落ちている。 細い、金属の棒。 先が少し曲がっている。
刑事
誰も答えない。 三浦が、少しだけ顔をしかめる。
刑事
三浦
斎藤
小林
口々に、同じ方向へ逃げる。 刑事はそれを見て、ゆっくり立ち上がる。
刑事
ポケットに入れる。
職員室に戻る。 刑事は録音機を止める。
同僚
刑事
同僚
刑事
紙を閉じる。 そのとき。 ポケットの中で、さっきの金属が、指に触れる。 冷たい。 妙に、手に馴染む形。 曲がった先端。 何かを“引っ掛ける”ような形。 刑事は一瞬だけ考える。 あの席。机の下。視線の高さ。 もし、そこに人が座っていたら。
同僚
刑事
首を振る。
刑事
翌日。 教室は、いつも通りだった。 一席、空いている。 誰も座らない席。 黒板には、日付。 欠席者の欄。 名前は、一つも書かれていない。
担任
誰も違和感を口にしない。
斎藤
小さな声。
三浦
斎藤
三浦
斎藤
小林
斎藤
三浦
即答。強い言い方。
三浦
斎藤
納得したように頷く。 それ以上、誰も言わない。 その日の放課後。 誰もいない教室。 窓際の席。机の下。 何もないはずの場所に、細い、引っかき傷がいくつも残っている。 内側から、外へ。何度も、何度も。 同じ方向へ。 そして、それを見た人間は、誰もいないことになっている。