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#和風ファンタジー
るしゅ
110
職員室の空気は、やけに静かだった。 録音機の赤いランプだけが、点いている。
刑事
教師
椅子が軋む。 教師は一度だけ、教室の方を見た。
刑事
教師
即答だった。 迷いがない。 刑事は小さく頷く。
刑事
教師
一拍。 それでも、否定は変わらない。
刑事
教師
刑事
紙に何かを書き込む音。 刑事は顔を上げる。
刑事
教室。 机は整然としている。 一つも欠けていない。
刑事
斎藤
刑事
斎藤
刑事
斎藤
刑事
斎藤
刑事
斎藤
刑事
斎藤
別の生徒。
刑事
小林
刑事
小林
刑事
小林
刑事
小林
刑事
小林
また別。
刑事
三浦
刑事
三浦
刑事
三浦
刑事
三浦
証言は、すべて揃っていた。 暴力はない。 いじめもない。 無視も意図的ではない。 誰も関わっていないだけ。 ただそれだけ。 ただ、それだけのはずだった。 刑事は一度、教室の後ろを見る。 窓際の席。 空いている。 そこが、柊の席だと聞いている。
刑事
誰も答えない。
斎藤
同じ答え。揺れない。
刑事
メモを閉じる。 そのとき。 足元で、何かが鳴った。 コツ、と。 小さな音。 刑事がしゃがむ。 机の下。 何かが落ちている。 細い、金属の棒。 先が少し曲がっている。
刑事
誰も答えない。 三浦が、少しだけ顔をしかめる。
刑事
三浦
斎藤
小林
口々に、同じ方向へ逃げる。 刑事はそれを見て、ゆっくり立ち上がる。
刑事
ポケットに入れる。
職員室に戻る。 刑事は録音機を止める。
同僚
刑事
同僚
刑事
紙を閉じる。 そのとき。 ポケットの中で、さっきの金属が、指に触れる。 冷たい。 妙に、手に馴染む形。 曲がった先端。 何かを“引っ掛ける”ような形。 刑事は一瞬だけ考える。 あの席。机の下。視線の高さ。 もし、そこに人が座っていたら。
同僚
刑事
首を振る。
刑事
翌日。 教室は、いつも通りだった。 一席、空いている。 誰も座らない席。 黒板には、日付。 欠席者の欄。 名前は、一つも書かれていない。
担任
誰も違和感を口にしない。
斎藤
小さな声。
三浦
斎藤
三浦
斎藤
小林
斎藤
三浦
即答。強い言い方。
三浦
斎藤
納得したように頷く。 それ以上、誰も言わない。 その日の放課後。 誰もいない教室。 窓際の席。机の下。 何もないはずの場所に、細い、引っかき傷がいくつも残っている。 内側から、外へ。何度も、何度も。 同じ方向へ。 そして、それを見た人間は、誰もいないことになっている。