テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#いじめ
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
朝の教室。 ざわめきの中で、ひとつだけ静かな場所がある。 一番後ろ、窓際。 そこに、榊は座る。 机の横に、もう一つ分の空間。 何も置かれていないのに、誰も詰めようとしない距離。
榊
返事はない。 最初から、期待もしていない。
小田
菅原
笑い。 担任が入ってくる。 黒板に日付を書く。
教師
一瞬だけ、ざわめき。 榊の指が止まる。
教師
小田
菅原
誰かが言う。
女子生徒
笑い。 榊は、顔を上げない。 一時間目。
教師
榊
教師
一瞬、間が空く。 教室がざわつく。
小田
菅原
笑い。 教師は咳払いをする。
教師
でも。 榊には分かる。 “今、名前が出かかった”。 出てこなかっただけで。 昼休み。 榊は席に残る。 誰も近づかない。 でも、完全に放置でもない。 “観察”されている。
小田
榊
小田
榊の手が止まる。
菅原
女子生徒
小田
菅原
笑い。 榊の喉が詰まる。
榊
小田
榊
そのとき。
――ギッ。
後ろの椅子が、軋む。 はっきりと。 榊のすぐ後ろ。
小田
菅原
誰も動いていない。 でも、音は消えない。
榊
小さく呟く。
小田
榊
菅原
榊は答えない。 答えられない。 なぜなら。 それは、クラスのせいじゃないから。
放課後。 教室には、榊一人。 窓の外が暗くなっている。 榊は、動かない。 帰れない。 帰ると、“思い出す”から。
榊
初めて、後ろに向かって話す。
榊
沈黙。 でも。 空気が、少しだけ重くなる。
榊
椅子が、ゆっくり軋む。
ギィ……
榊は、振り返らない。 振り返る勇気がない。
榊
喉が詰まる。
榊
その瞬間。すぐ後ろで、声。
??
榊の肩が跳ねる。 声は低い。 でも、はっきりしている。
??
榊
言葉が出ない。
??
ゆっくり。言葉が落ちる。
??
榊の指が震える。記憶が、浮かぶ。
榊
??
すぐ後ろ。近すぎる。
??
榊
??
榊
初めて、認める。声が震える。
榊
??
榊
沈黙。 教室が、静まり返る。
??
あっさりした声。 責めていない。 でも。その方が、重い。
??
榊の呼吸が止まる。
榊
??
椅子が、もう一度鳴る。 すぐ後ろで。
??
榊
??
榊
??
また、同じ返事。 否定しない。 でも。許しもしない。
榊
小さく、絞り出す。
??
即答。 でも、怒りはない。 ただ。“執着”だけがある。
??
肩に、重み。 見えない手。 榊の体が、わずかに押される。 椅子に、深く沈む。
??
榊
??
黒板に、音もなく文字。
“残り:1”
榊の視界が揺れる。
榊
??
耳元。息がかかる距離。
??
榊
??
榊
その瞬間。 少しだけ、間が空く。 そして。
??
静かに。淡々と。
??
榊の背中に、重さが増す。 逃げられない。
??
声が、少しだけ近くなる。
??
榊
??
答えられない。答えがない。
??
初めて、感情が混ざる。 でも。 怒りでも、悲しみでもない。 ただ。離れない。
??
椅子が、強く軋む。
ギィッ。
??
榊の肩が、完全に押さえられる。 立てない。 振り返れない。
榊
声が、掠れる。
??
即答。
??
黒板の文字が、増える。
“固定席:榊(2)”
教室の扉が開く。 小田たちが戻ってくる。
小田
菅原
笑い。 でも。榊は動けない。 後ろの重みが、離れない。 女子生徒が、ぽつりと言う。
女子生徒
小田
女子生徒
沈黙。 榊の席。 明らかに、一人分じゃない沈み方。
小田
笑い。 でも、少しだけ引いている。 榊は、何も言わない。 言えない。 後ろから、声。
??
榊
??
榊は、口を開く。 でも。出てこない。 最後まで。
??
優しく、でも逃がさない声。
??
椅子が、ゆっくり軋む。 二人分。 ずっと。