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朝。 同じ時間、同じ教室、同じ空気。 黒板には、昨日と同じ日付が書かれている。 ――3月12日。
小野
自分の席に座る。 教室のざわめきも、窓の外の風も、全部“昨日と同じ”。 ただ一つ違うのは、分かっていること。 ――これは、三回目だ。 担任が入ってくる。
森本
声も同じ。 順番も同じ。 全部、同じ。 そして。
森本
教室が少しざわつく。 小野は知っている。 ここからが始まりだ。
森本
静まる教室。
森本
誰かが笑う。
森本
小野は、机の下で手を握る。
――一回目は、ここで誰も動かなかった。
――二回目は、ここで“誰か”が決めた。
そして、三回目の今。
森本
視線が、動く。 ゆっくりと、ある一点へ集まる。 まだ決まっていないはずなのに。 空気が、“そうなる”方向に流れていく。
女子生徒
軽い声。 冗談みたいに。 でも。それで決まる。
森本
誰も異論を言わない。 小野は目を閉じる。
――ここまでは、同じ。
一時間目。教師が当てる。
森本
小野
一瞬、空気が止まる。 教師の顔が、歪む。
森本
そこで、世界が途切れる。 目を開ける。
朝。 黒板には、同じ日付。 ――3月12日。
小野
いや。違う。 今のは、“四回目”だ。
森本
同じ声。同じ流れ。
森本
小野は、息を吐く。 分かっている。 今日は、自分が選ばれる。 逃げられない。 でも。
小野
小さく呟く。 ルールは一つだけじゃない。
森本
小野は、ゆっくり手を上げる。 教室がざわつく。
森本
小野
一瞬の沈黙。 誰も考えたことがなかった問い。
森本
小野
森本
小野は立ち上がる。
小野
空気が、凍る。
女子生徒
男子生徒
小野
静寂。 森本の顔が、わずかに歪む。
森本
小野
その瞬間。 教室の空気が、変わる。 黒板に、音もなく文字が浮かぶ。
“違反”
誰も書いていない。 でも、確かにそこにある。 森本の口が止まる。
女子生徒
小野
森本は、何も言えない。 ルールは絶対。 だからこそ。 “破った側”に適用される。 黒板の文字が、増える。
“対象変更”
教室中の視線が、一斉に動く。 森本へ。
森本
誰も、返事をしない。
森本
誰も、動かない。 小野は、座る。静かに。
森本
声が、だんだん小さくなる。 存在が、薄くなるみたいに。
森本
最後の声は、誰にも届かない。 その瞬間。 黒板の日付が、書き換わる。
――3月13日。
小野は、ゆっくり息を吐く。
小野
でも。 安心した瞬間。 教室の後ろで、誰かが呟く。
??
振り返る。 知らない顔。 でも、クラスの席に座っている。 その生徒が、笑う。
??
黒板に、新しい文字。
“継続”
小野は、気づく。 終わっていない。 ただ、“一日進んだだけ”だと。 そして。 その視線が、またゆっくり動く。 次の標的を探すように。
#いじめ