1)登場人物一覧
ハヤ――山あいの温泉町・霧守町にある花屋「花は散らない」の裏方。名札を避けてきたが、町の再起の先頭へ押し出されていく。
ノイシュタット――東京で広告の仕事に失敗し、故郷へ戻った男。気障だが、人の小さな変化を見逃さない。
オブラス――商店街の会計補佐。数字と現実で仲間を支える。
ジョンナ――町立図書室の司書補。古い記録と伝承を掘り起こす。
アンネロス――焼き菓子店主。温かく、言うべきことは逃さない。
2)あらすじ
2026年夏、閉店寸前の花屋で働くハヤは、祭りの夜に古い鍵を拾う。鍵が開いた先には、二十年前に途絶えた催し「嘘の実話祭り」の記録が眠っていた。町は大手再開発会社に飲み込まれかけ、商店街の店々は名前ごと消されようとしている。ハヤは、帰郷したノイシュタットや商店街の仲間たちと共に、花屋を入口に祭りをよみがえらせる。笑える失敗を重ねながら、埋もれていた過去の真相と、忘れられた人の名前が少しずつ町に戻っていく。これは、誰か一人が勝つ話ではない。無名で終わるはずだった人たちが、自分の名を名乗れる場所まで上っていく再生の物語。